生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

ぱぱ

電車の中で隣の「パパ」と幼児が座っている

「パパ」は僕のパパじゃない

隣の幼児は「パパ」の腕から少しでも離れると「パパ!パパ!」と泣き喚く

膝の上の定位置に抱き抱えられると落ち着いた様子でしがみついている

幼児の中ですべての世界は「パパ」なのだ

「パパ」と呼ばれる男性の背中にはその男性に不釣り合いなほど小さく、コンパクトな紺色のリュックサックがくっ付いていた

お腹に赤ちゃんがいます のキーホルダーがゆらりと揺れる

幼児は必死に「パパ」の体に身を寄せ首に手を回している

その2人の周りは大きく空間が空き、まるでそこだけ浮き出た異世界みたいだ

その前には夫婦が子供を二人連れて雨合羽を畳んでいるのを見た

僕にはパパが分からない

分からないけどきっと安心感のある空想生物なんだなと思った

世界にどこまでパパがいるのか分からない

最低なパパに優しいパパ

色んなパパがいるのかもしれない

でも僕にとってはどれも等しく空想生物でユニコーンUMAと何ら変わりない

永遠に巡り会うことのないツチノコなのだ

それなのに酷く寂しく

脆く羨ましく

何だか母親に背いたような

そんな軽犯罪を犯したような

そんな、そんな

そんな気持ちになった酷い雨の日

「パパ」は降車した