生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

ピンク

同じ大学の矢橋は入居者募集の看板を24時間365日掲げている大学前のアパートに住んでいる

バスを待っていると目の前に浮かぶどピンクのソレは、目の悪い僕でもハッキリとわかるくらいデカデカと『入居者募集』をアピールしている

頭のおかしいいかがわしい施設を想起させるそのピンク色の中に、矢橋は何食わぬ顔で住む

女を連れ込むこともなく、大学二回生になっても純潔を貫き、サークルにも入らず、何をするでもなく一人暮らしのピンクを消費して生きていた

噂によると、矢橋は友達すらもその家に呼んだことがないらしい

毎日目にするうちに、誰も知らないその中身にだんだん興味が湧いてきた

何人か同じ大学のやつが住んでるのも知っている

後はそいつらと接点を作り、辿ればいいだけだ

調べていくうちに、やつらの共通点が見えてきた

"誰も中に人を入れないこと"

恋人、友達、家族、誰1人、中に入れようとしないらしいのだ

矢橋だけをからかっていた僕の心にじわじわと黒い波が寄せてくる

これはもしかして、矢橋はとんでもないところに住んでいるんじゃないか、と

渦中の矢橋は相変わらず眠そうな顔で講義を受け、そそくさとアパートに帰ろうとする

ゆらり

僕の視界の端で矢橋が身体を不自然に揺らしたように見えた

ぐにゃり

関節がないかのように矢橋は横に揺れる

顔から血の気が引いていく

見てはいけないものを見たような

ぐるり、

矢橋の顔が180度回転したように見えた

「今日、俺んち来ないか」