生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

不和には症状危虞、又懐(ゆか)しく痩躯

芦ケ谷がズブ濡れの身体を引き摺って、床を這いながら還ってきた

飲み込まれて数日経った真夜中のことだった

酷く濡れたように見えたソレは、全部何かの血液だった

ズルリズルリとモップのように這いずり回っては床に跡を残していく

寝室は赤に塗れた

右脚は逆方向に捻じ曲がり、指は彼方此方を向いている

目からぐじゅぐじゅの血を零しながら、芦ケ谷は僕のベッドの下に辿り着いた

「やあ、おやす、みの、とこ、ろに、し、つれ、い。ぼ、くの、おか、えりだ、よ。愛、す、るしゅじ、ん。さ、て、こん、な姿は、も、う、見飽、きた、ろ。ぼ、くを、もう、いち、ど、愛して、は、くれな、いかな、か、って、に、居なくな、ったこ、と、は、どうにか、なって、でも、償、っ、て、みせ、る、から」

ぐちゃり

芦ケ谷の身体が持ち上がる気力などないかのように崩れた

曲がった指からどんどん真っ青に変わっていく

床から無数の指が、手が、生え出して芦ケ谷を毟りとっていく

芦ケ谷の血肉がぐちゃぐちゃと散らされて、液体に代わりドロリと溶けて、部屋の隙間に流れ出す

僕はシーツを投げ捨てて、芦ケ谷の身体を抱き締めた

きつく、固く、異常に冷たい身体を震える手で必死で押さえ込んで、何度も何度も名前を呼ぶ

こいつをもう二度と何処にも奪われないように

芦ケ谷は僕の両手の触れたところを中心に生身を取り戻してゆく

だんだん熱く、人間に、肉を寄せ集めるように

周りを取り囲んだ指が歪んで、パシャンと弾け飛んだ

芦ケ谷の身体は元の形を綺麗に取り戻し、僕の腕に抱かれていた

「ああ、主人。僕をもう一度愛してくれたんだね」

耳に口を寄せて、一語一語で僕を縛り付けるように、愛おしそうに唱えた

それはとても心地よく、歪でどうしようもない愛だった

 

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