生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

永久には偶像二拍、又愛しく遠く

同じ大学の奴らは僕を見ない

口を聞かないどころの騒ぎじゃない、まるで僕を認識していないかのように、物事を進ませていく

まるで透明人間になったみたいだ

芦ケ谷を飼うまではそうだった、そう

僕は全知全能を手にした

さながら禁忌の林檎にむしゃぶりつく小汚い男女二人

そいつらの代償はちっぽけで矮小だ

この世界で僕だけがこの異常を好きにできる

芦ケ谷と名前を呼ぶだけだ

いつでもどこにでも奇妙は遭いにくる

人間がざわめき、滞り、吹き溜まり

僕を見ないヤツらの普通が嫌になった

芦ケ谷

それはさながら暗証番号、何かの合図、前触れ、ただ振動に呼応する

ジャージにパーカーのラフな格好で薄汚い世界に、半身を滑り込ませる

合間を縫う度に肢体がしなる

芦ケ谷が歩いた道にグチャグチャと人間が肉になって降ってくる

真っ赤で綺麗な雨だ

首が朱に染まり落ちる姿はまるで椿だ

体が魚の開きのようにパックリ開いたまま、床に崩れ落ちたものもいる

人間は肉塊だ

所詮血と肉だけが詰まっている小汚い肉袋だ

皮も爪も蛇足にしか過ぎない

ましてや思考なんて

肉塊の中に見知った顔面が交じる

あれは僕を無視した女、あれは僕を詰った男、あれはあれはあれはあれは

辛うじて人間だと認識できた顔面を、芦ケ谷のハイカットスニーカーが踏み潰していく

芦ケ谷は踊るように、嗤うように、ただ殺すのが普通だと肯定するように

僕の前に舞い戻る

白と青のスニーカーが肺や腸、皮袋で汚れている

このフロアだけじゃない、反対の棟に見える真っ赤が全ての静寂を形容している

芦ケ谷は指揮者のように右手を軽く握って掲げている

「ああ、これが静かだ」

手を下ろし、軽く会釈して僕の首を軽く掴んだ

「お前の中身もこれだよ、ちゃんと見ておきな」

酷く静かで冷たい声だった

確かに僕のモノのはずなのに、何だか酷く突き放されたように思えて、芦ケ谷を睨みつける

「もっと見たければ俺の腹でも裂こうか?」

瞬きの合間に従順さを纏わせて、僕の耳に舌を這わせた

声が鼓膜を震わせる

脳髄まで波打ち、感覚がブレる

芦ケ谷はぺたりと血塗ろに座り込んで、身体を汚した

何も怖くないような目をして、肉塊の海に身を落とした

血は芦ケ谷をみるみるうちに赤に染め上げていく

赤かった血が芦ケ谷の指でなぞられて真っ青に変わっていく

「ほら、海ができた」

骨が、肉が、皮が、青に沈んでドロリと溶けていく

その中に芦ケ谷が沈んでいく

ズブズブと、まるで飲み込まれるように

僕の顔が真っ青になる

途端に怖くなった

芦ケ谷がこのまま引き摺られていなくなるんじゃないかって、

足を青に踏み出した瞬間、騒音が耳を掻っ切った

さっき肉塊になったヤツらが、バラバラが、肉が、また話を始め、普通が、降って湧いた

芦ケ谷も、海も、バラバラ死体も、何もかも、無かったように

何も、無かったように

すべて跡形もなく、消えた