生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

親娘

夜中にお風呂を上がった

母親がいる居間からテレビの明かりだけが漏れる

母親が何かを話し続ける声がただひたすらに聞こえた

私はとても怖く思えた

私に話しかけているのか、独り言なのか何も分からなかった

扉を開け、居間に入る

敷かれた布団の上でぺたんと座った母親が、おおきなかぶを読んでいる

本などない

内容は何度も私に読み聞かせしたから覚えていると言った

うんとこしょ、どっこいしょ

うんとこしょ、どっこいしょ

それでもカブは抜けません

ただ優しい声で何度も何度も読む

お母さん、どうしたの

私が尋ねると母親は

楽しい時のことを思い出してる、私におおきなかぶを何回も読み聞かせしたなあって

と赤く涙で満たされた目で言った

お母さん、泣いてるの

と聞いた

怖くて悲しくて寂しくて

どうしようもない辛い気持ちになった

お母さんは今、会社でも辛くよく寂しいと言っている

お母さんみたいな人間は損ばかりして、うまく生きれていないとそう言う

私はどうして母が、どうしてそんなふうな目ばかり合うのか分からなかった

周りの人間も会社も母に辛く当たり、私たちにつきっきりだったために友達付き合いもない

ママ友も優しくない人間で、母親を蹴落とそうとする

私は不意にこのまま母親がおかしくなっていなくなってしまうんじゃないかと思えた

寂しいの?一緒に布団で寝る?

小さい頃のように、母親は私に尋ねた

咄嗟に私は断って、母をあのテレビの部屋に置いていってしまった

お母さんがいなくなりそうな気がしたのに

怖くて自分の部屋の布団に逃げた

涙が止まらなくて、ボロボロと声も出さずに泣いている

何度も何度も涙は筋を作って

枕カバーをぐっしょりと濡らしていく

学校で辛いことがあって、どうしても嫌で逃げたくて本当に傷付いて

誰が悪いのか何もかもわからなくなって逃げ帰った夜だった

母親は

かわいそうにね、私も辛い思いしてるよね

そう言って自分のことのように苦しい顔をした

私は母親を失いたくないと思った

いなくなるのも本当に怖くて

ふとあの部屋に帰ると、母親が消えている気がして怖くて

あの夜に母親を取り残さないよう

あのまま連れていかれないように

私は襖を開けた