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生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

模倣犯

需要が高い人が好きじゃない。

俗な表現を使って言ってしまうと、モテる女が好きじゃない、というわけだ。

自分の中でどれ程位置が高く、精神を持っていかれた相手とて、世間需要が高かったり、元彼がいたりすると覚めてしまったりする。

夢から覚めるのは一瞬で、後は弾けたバブルのようだ。

残るのはあぶくと、丸い跡だけ。

モテる女が好きじゃない。

そう、思っていたのに。

僕の意思は僕の高く掲げた理想論と反して、沈まないこの気持ちに辟易している。

有り体に言えば、モテる女だがなぜか少しだけまだ気になっている、といった具合だ。

他人だから気になる。

自分と少しでも関わりがあればすぐに氷点下だ。

リスクのない遊びは面白い。

リスクのある遊びは堅実派の僕には心置き無く楽しめない。

まるで小説の続きが気になるような、そんな感覚の気になる。

彼女には一体、どんな物語があるんだろう。

そのフレームの先に、何を見て。

求められきった体を、どのように弾かせ。

彼女は欠けない月のよう、誰にも等しく愛される。

叶わないから手を伸ばし、愛をなにかに昇華させる。

永遠の彼女の隣にはいつも女がいる。

嫉妬と羨望の眼差しを受けきった彼女の隣の女は、もっと、もっと美しい。

誰彼も知らず、それとなく受け皿になり、そんな女の底を誰も知らない。

彼女の情報を教えるための綺麗な口を、柔らかに震わせて。

女らしく、全てを柔らかにしなやかにこなし。

そんな女を、彼女ごと手に入れて壊してやりたい。

他人の幸せを簡単に祝えてしまう、そんな精神の裕福さ。

きっと満ち足りた日々だ。

彼女の眼前では、僕の泥舟が、僕の掃き溜めが、僕にとっての木偶の坊の死屍累々が、まるで素敵なお花畑に、まるで素敵なエスコートに、まるで素敵な求婚者に、そんなふうに変貌していく。

僕のひねくれた愛情が、彼女の正しいものさしで図られてしまう前に。

彼女と出会わないように、彼女に存在を知られる前に、世間の端をこっそりと。

別に美しくもないドブネズミの僕だから。

とっても美しい彼女の隣の女に。

お手を触れて、彼女と間接的に干渉して。

鑑賞されて、緩衝感傷完勝感傷。

そうなる前に。

彼女の隣の女に、周りのタイトル重視の男共が気付く前に。

大学デビューで彼女を模倣したあの女に。

誰かがお手つきする前に。

歩く姿、身のこなし、世間の評価は彼女のよう。

本当の自分に、コピーした彼女。

無意識のうちに、或いは本能的に。

あの女は彼女をコピーアンドペースト

自分の内側に、自分の外側に、貼り付けて貼り付けて貼り付けて。

塗り重ねられた世間からの評価に、彼女を演じざるを得なくなってしまった女は。

やがて耐えられなくなって、内側をふと、悪い男に気付かれて、依存して、遣る瀬無くなって。

遮光カーテンに、間接照明。

揺れるシルエット。

その姿は、まるで彼女。

あの彼女、美しい彼女。

誰からも、求められた彼女。

あの女は、あの女は、あの女は。

僕だけが愛したあの女は、こうしてまだ僕の中に。

僕の中だけに、静かに息づいている。