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生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

世界真実

曇天だ

空が落ちてきそうだ

どうせハリボテの世界だ

水平線にはガラスの壁がある

宇宙には宙吊りの恒星たちがいて

宇宙飛行士は飛んだ詐欺師だ

目眩は記憶の改竄だ

目覚めはリセットだ

明日は能無しだ

僕らはモルモットだ

もっと歯車を寄越せ

僕が綺麗に回って見せよう

要らない夜

同じ言葉ばかりを言ってきて、僕を自己肯定がわりに使う女が嫌いだ

ねえ、可愛そうだよね

同意を求めて、同情求めて

それで生きていけるんだから人生カルピスより甘いよな

俺にだけ降ってきた土砂降りを、スパンコール付きのクラッチバッグで器用に交わして

化粧を百均のパフで直して

いちいち君の一挙一動にコメント言うのも疲れたの

愛されたいからって、僕にそれを求めないで

肯定を、ただのつまらない頷きを

僕の体を消費して奪おうとするな

汚い甲高い声、元彼の居場所

誰かからの貰い物

散々整えられた真っ直ぐな前髪

全てが全てに吐きそうになる

ぎこちない手に抱かれてやるのも疲れた

自分の心のミスを自己処理しろ

自分で慰めて、自分で戻して、自分でまた別の僕に似た人を抱いて

乾いた喉に、千切れそうなキーホルダーのストラップ

他人事のように潤んだ瞳に全財産を突っ込んで硬貨で捻って関節を逆に向けてやりたい

体の節ごとにボルトを打ち込んで、ああ、も、ううん、も、可愛そう、も、二度と言えなくして

二度とお前の目に映りたくないから

遷り変りたくないから

君の男性遍歴のページに僕の名を残さないで

お願いだから、頼むから

勝手に僕を美化して恋焦がれないで

君の中で若返ってずっと気持ちが悪い笑みを浮かべている悪趣味な妄想の僕をどうか殺して

自殺させてあげて

解放して

これ以上僕に期待しないで

その被害者面を僕に向けないで

激しく歪んだ自己愛を僕だと呼ばないで

幾らでも死ぬから

僕は幾らでも死ねるから

だからお願い

僕を君の地獄に落とさないで

羽を引きちぎらないで

安っぽいペンキで黒に塗らないで

君の唾液で肺を汚さないで

自己陶酔の自己処理で汚れた手で触れないで

本当にあなたが薄汚いの

君は吐きそうなくらい自分に酔ってるの

マグロな癖に僕を抱くとか言わないで

汚い傷跡まみれの体に嗚咽を堪えてるの

身体中に残されるキスマーク

苦痛でしょうがないの

鬱血した部分を、何度もブラシで擦っても消えないの

触れた部分を何度消毒してもまだまだまだまだ汚れている気がして

どうしても何しても

何回自分を開いて赤を垂れ流しても、

中に少しでも混ざっているような気がして

吐瀉物混じりのコーンフロスティ

何度も僕に食わせようとする

骨の浮いた僕の身体

脂ぎったその体で抱きしめようとしないで

平らな胸に舌を這わせないで

男の僕を侵すことで優越を感じないで

感じないで、感じないで

感じないで感じないで感じないで感じないで

磨りガラス越しにアダルトビデオでも見ている気分だ

爪切りで切ったばかりの爪

中指、人差し指、薬指、

僕の手首を錆びたカッターで切ろうとしないで

親が借りたマンションの一室

実家から持ってきた勉強机

高校時代の倫理の教科書

お前の腕くらい太い鎖

僕の手足に絡まりついて、解けない

頼むから妄想の僕を

お願いだから、妄想の僕を

美化しきって戯言ばかり

君にとっての甘言ばかりを告げる僕を

お前を丁寧に優しく抱く僕を

殺して、お願い、殺して

自己完結して、僕との世界に生きないで

悲劇ぶらないで、

頭がおかしくなりそうだ

離して、殺して

君の理想像を、倒して壊して

僕との会話を脳内補完しないで

早く

殺してくれよ

こんなに美しい君だけの空っぽの僕を!

目眩がした

気分が悪い

バイト中、切手をちぎる手が震える

もう薬物中毒者みたいに、とんでもなく震える

客が僕を不審に思う

目の前が白く靄がかっている

今夜も寝れない

お風呂上がりの目眩も

湯気のようにぼやけることも

最近の日常で

まともに立って歩けない朝が来ることも

悪夢に怯え眠れないことも

全ては君の知らない世界

僕の薄汚いリアル

仮想現実にはない

今日も誰かが捨てた世界

体が限界を訴えだした

頭はなんだかぼんやりし、体がとても重く動かない

目の前は少しかすみ、これが現実なのか夢なのか分からない

視線の端にぼんやりと見える

これが自分の部屋なのかすら分からない

カーテンが開けられている

しかしここには誰もいない

一瞬、自分の体が透き通って見えた

なんだか死ぬほど寂しい

自分はとんでもなく孤独で、世界中に今、僕しかいないんじゃないかと思うような

そんな、そんな真昼

太陽すらプラスチックで出来ている

疲弊

電車で目の前に座っているサラリーマンが死ぬほどかっこいい

女子高生に寄りかかりそうなほど首をかしげ、眠っている

腕組み姿勢で眠っている

ネクタイはボルドーと白と灰のストライプ

深い青色のイヤホンを耳にさしている

今、顔を起こした

でもまだずっと眠っている

マスクが顔を覆っている

黒い会社用のカバンのチャックがよく見ると空いている

黒い革靴が雨で濡れている

綺麗なちょうちょ結びだ

靴とスーツの間に覗く靴下が黒色

まだ彼は眠っている

爛々

目の前には線路がある

灯りに羽虫が群がる

羽根を焦がして翔ぶ

輪を描くようにして不規則に飛散る

何十匹も何百匹も

それは僕らが臨んだ宇宙

アレもこれも僕の断片

虫は僕をふいに喚ぶ

さぞかし気持ちがいいように、蛍光灯に当たって妬ける

痛くて死んで、それがすごく欲で、よくて、気持ちが良くて

ああ、またあの他人(ひと)が逝ってしまう

僕に心などあるはずがないけれど

痛みに慈悲などあるはずがないけれど

それは誰もが臨んだ宇宙

愛と詠んで、また蓋を開けろ

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バイト先のコンビニに男が来た。

スーツケースをコロコロと連れて。

男は背が高く、これといって変わった特徴もなかった。

強いていえば、フレームの厚い眼鏡をかけていたことだ。

男の会計をする最中、お金を受け取る際に不思議なものが目に止まった。

スーツケースのチャックの隙間から、白く細い筒のようなものが顔を覗かしているのだ。

男はいそいそと動き、早く移動したいように見えた。

その時、厳重に閉められたチャックが少し揺れた。

この筒は空気穴ではないか。

中に人が入っていて、それを運ぶための。

男は顔色一つ変えず、素早く動く。

息を止め、耳に神経を集中させる。

シューフシュー。コフー。

呼吸音が漏れる。

 

スーツケースは依然、喋らない。