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生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

運命

百合子と知り合って4ヶ月。

少し立ち止まってみると、もう言い逃れのできないくらい外堀が埋められている。

付き合ってはいない。

付き合ってはいないんだ。

第一、僕には好きな人がいる。

それは確実に百合子じゃない。

なのに毎朝のおはよう、毎晩のおやすみ。

周りの友達への根回し。

そのどれもが、百合子を彼女かと錯覚させるには十分だった。

極めつけはまるで僕からのプレゼントかのようにツイートされていたティファニーの指輪。

あんなもの、週二の雇われシステムエンジニアに買えるかよ。

好きな人のTwitterアカウントが凍結したらしい。

新しいアカウントが鍵付きで出来ていた。

怖がる彼女が可哀想だ。

震える彼女がモニター越しに見える。

今日もばっちり可愛い。

パソコンの扱いが弱い彼女。

壊れたパソコンを持って僕の店に来た彼女。

カメラが彼女の生活をずっと教えてくれるね。

最近百合子が付き纏うから、彼女の生活がちゃんと見られない。

分からないと不安で苦しくてしょうがないんだ。

彼女の玄関の扉が開く音。

うるさいハイヒールの音。

僕のストーカーの百合子。

彼女の頭が割れる音。

モニター越しに目が合う異常者。

百合子はとっても幸せそうだ。

僕はストーカーの……

すーぱーぽじてぃヴ

僕の身体のはずなのに、思い通りに動かない

いつもつまらないことを口走り、

柔らかい実を食んでいる

誰かが何かを犬だと言った

僕は僕を犬だと思った

人間の定義がどんどんどんどんとんとんとあやふやになって

人間は人間を辞めたがっている

人間をやめてしまおう

僕はそうして自由になろう

自由になって死んでしまおう

宇宙になろう分子になろう

何にもならないでおこう

僕は僕自身を消してしまおう

そこに君を置いて

チェス盤で

君だけを並べて

好き勝手に弄ってしまおう

チェスのルールなんて知りもしないけど

なんだか綺麗でかっこいいからそれでいいや

好きになる理由なんてそれでいい

あのことお弁当のおかずが一緒

あのこと抱いた女が一緒

あのこと前世の信仰が一緒

あの子が僕を嫌いなのが一緒

だからすき

だからすき

でもすき

きっとすき

すきすきすきすきすき

相対的に好き

ああすき

大っ嫌い

喪失届

忘れ物をしたのに、それが何だか思い出せない。

春に忘れたか、夏に忘れたか。

どの季節に忘れたのかもわからない。

いつの間にか置いてきてしまったことだけを覚えている。

喪失感だけを置いて、それは忘れてしまった事実を僕に誇示する。

それが何かを知るために時間をひたすら消費する。

どれだけ時間をかけても、いつまで遡ってもそれは僕に振り向いてはくれない。

あやふやな輪郭だけ残して、一斉に泣き喚いているような。

そんなざわめきを残して。

3分間

いつもギリギリにバス停に着くはずなのに、無駄に早くついてしまった。

時間の潰し方が異常に下手なため、有益な時間も過ごせず、そうこうしてるうちにバスが来てしまった。

バスの中でも同じだ。

全く同じ曲をひたすらループして一時間を過ごしている。

そういや昨日の4限から目が痛い。

突然目が痛くなって熱くなって。

あたふたしてる姿がそんなにもわかりやすいのだろうか。

ひとに心配されてしまった。

ひとりでいることが多いため、何処かが痛い時も決して声をかけられることもない。

不慣れなイベントに、いつもの日々。

僕はなんだかルームランナーに乗っている気分になってきた。

ただひたすらくるくる回るベルトコンベアの上を走り続けるそんな滑稽さ。

早さを時々変えても同じところを踏んでるだけ。

それの何が面白いんだろうな。

水槽の中に喘ぎ苦しんでる金魚草みたいだ。

空を見ても何を見ても足場が変わるわけじゃない。

酸素をすって二酸化炭素を吐いても、何かを生み出すんじゃない。

そうなると僕らは自分勝手なこじつけのために生きていることになる。

僕も今日生きる分の大義名分を取り出して、綺麗に三つ折りにして、口内で溶かす。

それはきっと君のシャンプーの香り。

僕を捨てた人は平気そうに生きているのに。

捨てられた僕は未だに縛られている。

そんな3分。

無駄遣い

四月にして、まだ電気毛布で布団を温めて寝ている。

誰かの体温が布団にある幸福を知ってしまってから、自分ひとりだけの体温では満足出来ない体になってしまった。

 その癖、風呂上がりにはあれだけ温めた布団の温度が嫌になって暑苦しさに蹴飛ばしてみたりする。

これはかなりの電気の無駄遣いだ。

そもそも私は人の体温のある布団などが本当は嫌いであり、ダメだったはずなのだ。

兄弟、親、友達、全ての体温が嫌いだった。

安心もできなかったし、しんどかった。

自分以外の体温に違和感を感じ気持ち悪くなった。

それなのに、

この体温は心地がいい。

柔らかく優しく僕の体が安心を覚えてしまっている。

そんなんじゃだめだ。

もしなくなった時の、もし、が来たら!

僕はきっと耐えられない。

不確定要素に身を委ねることが出来ない。

だから幸せに耐えられない。

だから幸せになりたい。

だから永遠が欲しい。

だからずっとを聞いて、

だからそっとそばにより、

だから震えるこの汚い手を、

だから、

だからのないただの幸福を、僕に。

蛇目 #短編小説 煌三

白無垢が嘲笑う。僕が生まれてきたのはこんな女と結婚し、父上と同じ傀儡になる為ではない。医者の息子だから、多少の実用的な結婚は仕方が無いとは思っていた。そのせいで昔からお金と女は嫌いだった。でも、もうどうでもいい。昨晩も父上と同じ血の通うこの舌で、虫の蠢いてそうな死んだ足を、まるっきり温度の通っていない白い足を…………。ああ、上等な着物が、虫に食われている。神主のいうことも聞こえない。斑点だ。橙だ。誓の口付けの感触が……全く知らない女みたいだ。

僕は何も

大学1回の後期に教職をやめることを決意した

バイト、人との時間、諸々

言い訳がましく言っているけど僕は死ぬほど未練たらたらで、

教職をやめたことがいつしか心の中に巣食う真っ黒い塊として今も胸の中にある

一大コンプレックスだ

今まで仕方が無いと思っていたし、公務員も安定した給与も、手放してしまったんだからどうしようもない

教職を取ったからといえ、どうせ僕のことだから勉強もせず落ちていたことも安易に想像がつく

とどのつまり僕は逃げたのだ

落ちることからも、勉強からも、奪われる時間からも

何もかもから逃げ出して、何も手には残らなかったのだ

教師を目指すキラキラした人に羨望と、汚い嫉妬を向けて

僕は明日も生きていくだろうし

きっと教職には背を向けて

必死に せんせい に関わらないようにして生きるだろう

そうして傷を抉るのが怖くて

コンプレックスを振り返るのが痛くて

また何も踏み出せず

腐って抜け落ちて

救われず泥になる

そこに落ちたのは砂金

いつかのなにか

いつかのだれか

柔らかな嫌悪感