生的過干渉

僕の劣情、散文、君への過干渉。

しずか

ケーキは一口も食べなかった

全部キッチンの三角コーナーに捨てた

白い箱だけがテーブルに置いてある

何もかもが無意味

喜んでもたのしんでも

そのあとすぐに全てを打ち壊す出来事がある

いつもそれ

手放しに喜ぶことなんて一生できない

毎日惨め

就床活動したい

死にたい

私は一生ドブの中

マジックシュガー

‪ケーキ屋の紙袋にいっぱい詰まったケーキを持ち歩く時、女は誰でもかわいくなれるのだ‬

汚れたハイカットがバレエシューズに代わる

柔らかな光が舞い踊るように差し込み

バス停に立つ数十分すら、片思いの人との待ち合わせのよう

ケーキを片手に持てば、世界は変わる

ふんわりとピンクの匂いがして

口角が綺麗に上がる

誰もわたしを知らないのに

わたしは今

世界でとびきり可愛い恵まれた子みたい

虹彩がキラキラと輝き

眩いばかりの宝石も

知らないだらけの事柄も

わたしに吹き付ける風も

春を纏い、そこには野薔薇が咲いている

ケーキは食べると消えてしまう魔法だから

時間が経つと溶けてしまうクリームが

泡のようなムースに甘酸っぱいベリーソースが

箱の中で魔法が解けてしまう前に

私の残りの若さをスプーンに乗せて

目一杯優雅にそして少し意地悪に

躊躇いなどない子供のように

フォークを苺に突き立てて

返しの付いた効き目の強いフォークで

甘さの控えた紅茶にミルク

そこでしかきっと生きていけないの

ケーキを買い直さなくちゃ

今度はもっと魔法の強いケーキ

私が目を覚まさないケーキ

ケーキ屋の紙袋にいっぱい詰まったケーキを持ち歩く時、女は魔法にかかっている

それはきっと一瞬

でも効き目は抜群

女は年を経て、ケーキに代わるものを見つけようとする

それは時にはボーイフレンド

時にはお化粧

時にはお洋服

時にはお人形

そうしていくつも魔法をかけて

女はひとりで夜を越える

女はひとりで街を歩く

女はひとりで息をする

フォークが静かに錆びて行く

白い箱が音もなく朽ちて行く

女はまた代わりを見つける

バラバラになった破片を掻き集め

そうして

そうして女はひとりで

女はひとりで歩くのだ

雑食

冬の空気は酷く冷たく不純物がない

マスク越しでもそれは変わらない

年が明けて新しい年に生まれ変わってしまったようだけど

僕の中にグラグラと沸く溶液は

何もかもを蕩かして青緑に変えてしまう

それも腐った沼のような色の

 

爽やかな灰色の院内は

今流行のウイルスを撒き散らし

僕らの体内に巣食う掃き溜めを

根こそぎ揺り起こそうとする

 

健康食の中に塩分を

吐き気がするほどの塩分を

塩の塊に白砂糖を溶かした下水

それらをじゃりじゃりと味わう

淡い色した輪郭が

今日も僕の挨拶を無視しては

柔らかく群れて

死に向かい札束を投げる

 

はらから

これは謝っても許してくれんだろうな

向こうの申し付けを一度断っているんだもの

僕の意思なんて寒天より脆いな

それでも連絡出来ないのは

最後の一般常識として、してはいけないラインなんだろうな

息苦しいな

動悸も酷いな

早く死にたいな

体重が中学の頃と同じだ

もう二十代なのに

僕は脆いな

脆くて薄汚い

 

徒歩

死ぬほど寒いのにアイスクリームを食べる

冷蔵庫に詰まったアイスを無理やり頬張る

特に好きじゃない味ばかりだけど遣る瀬無く頬張る

頭がずっと痛いのにそれでも頬張る

手足は冷え切って凍えている

それでも冷たいお茶を飲む

少し髪の毛を掴むだけで何本もの毛が抜ける

財布の中は空、埋まることはない

誰もこないから部屋は布団が敷きっぱなし

無理やり書かせた手紙に年賀状

それすら今は遠し

抱き締めていたぬいぐるみ

最近は震えて抱き締められない

隣にはずっと置いているのに

触れてはいるのに

たまに抱き締めると思い出してうずくまる

頭が痛いのは毎日

気分が悪いのもずっと

しんどくて重いのも変わらず

死んでしまいたいような日々

不自由誤送

最近電車で運ばれることが多くなった

何かあるわけでもないし、特に僕が変わったわけじゃない

別れてから曲も聴けなくて、今も良く生きれない

別れたけど、どこか分裂していない気がして、心の整理もつかず、指輪も何もかもそのままの場所に置いてあるけど

それは大晦日で掃除した後も変わらないけれど

それでも僕はきっと

別れてもそれでも

忘れることができないことも分かってはいたけれど、もう二度とまともに会えないことも何もかも

分かってはいたはずだけど

電車の中でAwesome City Clubの「僕らはここでお別れさ」を聞くまで

別れた実感から少しどこか逃げ出せていたような気がしたんだ

どれだけ相手の為にならないからなどと別れたことを綺麗に正当化しようとしたり、僕が悪かったと何度思ったとて

それは傷口にコンクリートすら塗れないし、空いた穴を埋める行為じゃない

自分の中はひたすらに空虚で

無意識にゲームを手に取るけれど、家財に財布が空っぽになるだけで

それ以外に何も得るものは無い

そこから目をそらせていたのに

目を上手くそらそうとしたはずなのに

大音量で流れるランダム再生からは静かな死の音がする

僕の身勝手な精神が死ぬ音だ

好きなものほど手放せぬ僕が生きれないことだ

君の名は が地上波で放映される

それも僕の心を揺さぶったんだろうな

最後に一緒に観た映画だ

秒速も、浅野いにお

好きだったよな

全部覚えてるし何も揺るがない

前を見て綺麗な顔で生きてるんだろうな

それを望んで別れたんだよな

あとに死体をブチ撒けて

無様に何度も立ち上がって

臓器をばらまいて

汚くのたうち回るくらい

酷い僕だ

別れたらそれでお終いで

君の幸福を願い、君に干渉せず、

こんなことを垂れ流さず、

生きることができたら

きっとうまく付き合えたんだろうな

僕は生きることが酷く苦しい

こんなにも身勝手で最低な僕のせいで

そうなる冬

君の幻影を見た

最近の僕は酷く目が悪いから

これもきっと何かの勘違いなんだろうけど

眼鏡を外した君が

僕をまっすぐ見たような気がするのだ

そんなものはきっと、ないのだけど

そんなことはきっと

 

君の姿は少し細くて

君の体はやはり少し華奢だった

きっとそれも僕だけの

僕だけに見えた記憶の誤差で

その時僕がバイト中で

大量のクレーム対応をしていなければ

もう少しはっきりと見ることができたはずなんだけど

そうして確信を持って

まだ僕は夢を見ていると

言えたのだけど

中途半端にぼんやりと見えた

そんな君の目が

僕の空洞を

冷気で満たす、そんな

きっとそうなる冬